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「海の駅から」③

 マサチューセッツ州のニューベッドフォード。その隣町のフェアヘーブン。コネティカット州のミスティック。米国東海岸にあるこの三つの町を、草柳俊二教授が訪れたのは2012年3月だった。

 ニューベッドフォードは、万次郎たちを救出した捕鯨船ジョン・ハウランド号を建造した町であり、母港でもある。フェアヘーブンは、ジョン・ハウランド号のホイットフィールド船長の家がある町。ミスティックは、海と船をテーマにした海洋博物公園の町である。

 ニューベッドフォードには世界最大の捕鯨博物館がある。博物館は、かつて活躍した捕鯨船の復元図面を作成し販売している。ジョン・ハウランド号の図面はなかったけれど、草柳さんは、6種類の捕鯨船の図面を購入した。1枚5ドル程度だという。さらに博物館が所蔵している、ジョン・ハウランド号と思われる絵画を見せてもらう。

フェアヘーブンは、万次郎がホイットフィールド船長の家に寄宿して学校に通ったゆかりの町で、船長の家は「ホイットフィールド・万次郎友好記念館」となって、大切に保存されている。ここで草柳さんは、ジョン・ハウランド号の復元概要図面を入手することができた。「米国ジョン万次郎会」のルーニー会長が、草柳さんの模型作製企画を知って、2枚の復元概要図面のコピーを提供してくれたのだ。

ミスティックの海洋博物公園では、1840年代初めに造られた捕鯨船チャールズ・モーガン号を見学した。建造された時期も場所も大きさも、ジョン・ハウランド号と近似しており、同時代に建造された中で、唯一残されている現物の捕鯨船である。

こうして米国の三つの町で収集した資料、情報、知識に加え、土佐の絵師・河田小龍が万次郎の話と記憶をもとに描いた絵も参考にした。集めた情報を丹念に分析し、総合的に組み立てて、ついにジョン・ハウランド号の模型を完成させた。母国の米国にもない世界で唯一の帆船模型が、日本の「ジョン万次郎資料館」に展示されている。

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